集中管理→分散管理→多種多様化…人間社会も同じ?
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まず、はじめに少しだけ、IT業界の話をさせてください。
80年代や90年代、パソコン・スマホは、一般的なものではありませんでした。
パソコン通信やホストなどの巨大なコンピュータやコミュニティがあり、そこにアクセスしてデータを取り出し、情報のやりとりをしていました。
まさに集中管理の時代でした。
その後、2000年代になり、パソコン自体の性能も向上し、クライアント・サーバシステムなど、どこかで集中管理するよりも、個々のパソコンで分散処理する方式がとられるようになりました。
集中管理から分散管理の時代に変化したのです。
そして、2020年を終えた現在。
媒体は、パソコンからスマホ・タブレットなどの携帯端末に変化し、データそのものもクラウド上に保存して、いつでもどこでも取り出せる状態が当たり前になってきました。
パソコンを使う人もいれば、ガラケーしか使えない人もいます。
SNSもさまざまなものがあり、個々人で取捨選択して、必要なものを活用しています。
そもそも、データ自体も保有しなくても、意識せず、使用できるようになってきました。
まさに、管理方法が多種多様化してきたのです。
「集中管理→分散管理→多種多様化」
これがIT業界の大きな流れです。
では、人間社会ではいかがでしょう。
昭和時代。
野球・ボクシング・紅白歌合戦・お笑い番組…
視聴率50%を超えるようなおばけ番組は多数存在していました。
ほぼ全員がテレビ・ラジオで同じ番組を見ていたのです。
”大晦日の夜=紅白”
のようなイメージを当たり前のように持っていました。
IT業界の例で言えば、集中管理の状況に似ています。
時代が変わり、平成も後半になった頃、
視聴率が50%を超える番組は皆無になってきました。
そもそも全員が同じ番組を見なくなったのです。
まさにニーズの多様化とでもいうのでしょうか。
IT業界の例で言えば、分散管理の状況に似ています。
そして令和となった現在。
テレビは唯一無二の媒体ではなくなり、ネットTV、Youtube、SNSなど、個々人が活用する媒体が多種多様化してきました。
新聞・テレビ・書籍を見ない世代も増えてきました。
Youtubeで登録した興味あるチャンネルだけしか見ない人も増えています。
テレビの報道番組で「自粛してください」と呼びかけても、聞いている人は一部に過ぎないのです。
Youtubeで呼びかけても、「何それ?」というおじいちゃん・おばあちゃんもいます。
情報を得る手段が多種多様化しており、誰も管理できなくなってきています。
ネット上では、自由な意見がかわされており、制御不能な状況になっているのです。
これは、日本の良い点であると見ることもできますが、コロナ禍の時代、全員に対する呼びかけが必要な状況においては、デメリットが目立ちます。
「集中管理→分散管理→多種多様化」
自由度が増していくということは、管理不能な領域の拡大を意味しています。
お金の世界でも、暗号資産(仮想通貨)など、特定の機関が徹底管理することができなくなってきています。
コロナ禍を受けて、この先、どのような変化・革命が起きていくのでしょう。
”多種多様で個々人の自由を重んじながらも、必要なときには管理可能とする”
こんな社会って、実現可能なんでしょうか…。
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